この記事では、和歌山の温泉街と、特におすすめの南紀・熊野の魅力、観光拠点に便利な宿を紹介します。
目次
和歌山の温泉が持つ魅力とは
海と山、そして世界遺産が共存する和歌山。各地の温泉街では、湯めぐりはもちろん、グルメや観光など多彩な楽しみ方ができます。ここでは和歌山の温泉ならではの魅力を紹介しましょう。
海・山・世界遺産に囲まれた多彩なロケーション
いにしえの空気が残る「熊野古道」
和歌山の温泉のおもしろいところは、見たい景色から湯を選べることにあります。海、山、世界遺産。異なる魅力を持つ湯が、ひとつの県の中に揃っています。
太平洋に面した長い海岸線と内陸の険しい山々、そして熊野古道に代表される信仰の地。少し車を走らせるだけでも、表情の異なる温泉地が近い距離に共存していることがわかるはずです。
和歌山の海は、水平線まで見渡せる開放的な眺めと、奇岩が点在する変化に富んだ海岸線が特徴。白い砂浜が広がる白浜温泉エリアなら、リゾート気分で夕日を眺めながら過ごせます。
山あいの龍神温泉エリアへ向かえば一転、深い山々に囲まれ、清流の日高川が刻む渓谷が出現。川のせせらぎや満天の星など、自然に包まれながら湯浴みを楽しめます。
そして、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道(さんけいみち)」の懐にある熊野本宮温泉郷。かつて参詣前に身を清めた湯垢離(ゆごり)の文化が今も息づき、厳かな空気を肌で感じられます。
有名な温泉地をめぐるのも良いですが、見たい景色から行き先を選ぶ。それこそが、和歌山の温泉旅ならではの贅沢と言えるでしょう。
温泉街の散策・グルメもあわせて楽しめる
和歌山を代表するグルメといえば、和歌山ラーメン(写真提供:(公社)和歌山県観光連盟)
和歌山の温泉街には、外湯や足湯めぐり、ご当地グルメ、観光まで、1日を通して楽しめる要素が凝縮されています。また、和歌山は関西随一の源泉数で、街中には気軽に立ち寄れる外湯や足湯が点在。宿のものとは違う温泉をいくつも楽しめます。
海の幸・山の幸が豊富な和歌山は、食の楽しみもひとしおです。あっさり醤油とコク深い豚骨醤油の二系統があり、食べ比べができる和歌山ラーメン。延縄(はえなわ)漁法による水揚げ量日本一の那智勝浦で味わえる、新鮮でもっちりした食感の生マグロ。高菜の葉で包んだ、食べ応え抜群のめはり寿司。これらを味わえるのも、現地を訪れた人の特権です。
なお、南北に長い和歌山は温泉や観光名所が全域に散らばっていますが、電車やバスの本数がかなり限られます。そのため、移動は車が断然おすすめ。時刻表に縛られないので、1日に回れる範囲も広がります。
宿の温泉だけで終わらず、湯めぐりやグルメまで余すところなく満喫できるのが、和歌山の温泉街ならではの大きな魅力です。
和歌山を代表する定番の温泉地
続いて、和歌山を代表する定番の温泉地を3つ紹介します。歴史ある名湯、絶景を楽しめる湯、そして世界遺産の湯まで、順番に見ていきましょう。
白浜温泉|日本三古湯のリゾート温泉街
波しぶきが迫ってくる「崎の湯」
白浜温泉は、1300年を超える歴史とリゾートの華やかさをあわせ持った和歌山を代表する温泉地です。
有馬温泉や道後温泉と並ぶ「日本三古湯」のひとつで、「日本書紀」や「万葉集」にもその名が残るほど。かつては斉明天皇や中大兄皇子が、湯治のために都からわざわざ足を運んだ地でもありました。
そんな当時の風情を唯一今に伝えるのが、天然露天風呂の「崎の湯」です。太平洋に突き出た岩場にあり、湯船と海の境目がないほど波が間近に迫る臨場感があります。白浜温泉を訪れたら、一度は立ち寄りたい名湯です。泉質は、塩化物泉と炭酸水素塩泉が中心。体の芯まで温まりながら、肌がなめらかに整います。
また、温泉街を歩けば湯を汲み上げる源泉やぐらがあちこちに立ち、湯の町らしい情緒が漂います。白良浜やアドベンチャーワールドをはじめとした人気観光地も近く、レジャーとあわせて楽しめるのも白浜ならでは。
温泉もリゾートも。どちらの気分にも応えてくれるのが白浜温泉です。
勝浦温泉|海の幸と絶景露天風呂が魅力の温泉街
マグロの解体ショーも見学できる勝浦漁港
勝浦温泉は、荒々しい太平洋と穏やかな入り江の2つの海と、獲れたての海の幸が満喫できる温泉地です。
177本という県内でも随一の源泉数を誇り、一軒の宿の中に泉質の異なるお風呂が備わっていることも珍しくありません。館内だけで本格的な湯めぐりが楽しめるほどです。
勝浦の象徴ともいえるのが、天然の大洞窟をそのまま活かした「忘帰洞」。熊野灘の荒波が削り出した岩肌の向こうに太平洋が広がる圧巻のロケーションが見どころで、日帰り入浴も可能です。
また、外海の荒々しさと対照的に「紀の松島」と呼ばれる島々が浮かぶ湾内は穏やか。送迎船でしか渡れない宿があるなど、ひと味違う海の表情を楽しめます。
温泉街のすぐ隣にあるのは、延縄漁法による生マグロの水揚げ量が日本一の「勝浦漁港」。併設された市場でマグロの解体ショーを見ながら、冷凍していないもちもち食感の刺身などのご当地グルメを堪能できます。
温泉はもちろん、獲れたての海の幸も味わう。それが勝浦温泉でのおすすめの過ごし方です。
熊野本宮温泉郷|世界遺産の湯がある山あいの名湯
世界遺産の参詣道にあり、現在でも入浴できる「つぼ湯」
熊野本宮温泉郷は、熊野本宮大社のお膝元に湧く「湯の峰」「川湯」「渡瀬」という3つの温泉の総称です。かつて熊野詣の旅人が身を清め、疲れを癒やした湯が今も昔と変わらぬ姿で残されています。
約1800年前に開湯したとされる日本最古の湯「湯の峰温泉」は、参詣前に身を清める湯垢離の中心となった場所。川沿いに佇む「つぼ湯」は、世界遺産に登録されながら、実際に入浴もできる貴重な温泉です。
川底から湯が湧く「川湯温泉」は、河原をスコップで掘って自分だけのオリジナル露天風呂を作れる珍しい温泉です。冬には川をせき止めた巨大な「仙人風呂」が現れ、さまざまなイベントが開催されています。
1965年に開発された「渡瀬温泉」は、リゾート地として親しまれている温泉地です。西日本最大級の源泉かけ流しの大露天風呂があり、日帰りでも気軽に立ち寄れます。
湯に浸かって身を清めてから参拝へ向かう。古くからの旅の形をそのまま追体験するのが、熊野本宮温泉郷の楽しみ方です。
温泉街めぐりを満喫するなら南紀・熊野がおすすめ
温泉だけでなく観光も楽しみたいなら、南紀・熊野を選べば間違いありません。ここでは、各エリアの見どころとおすすめの過ごし方を紹介します。
温泉とあわせてめぐりたい白浜エリア
円月島には夕日が沈む頃に訪れるのがおすすめ
温泉、景勝地、レジャー、ご当地グルメ。これらが一挙に集まる白浜エリアは、1泊や日帰りなど、限られた滞在でも余すところなく楽しめるのが魅力です。主な観光地と観光地の間は、いずれも車でおおむね15分圏内にあり、移動の負担が少なくスムーズに観光できます。
まず訪れたいのが、エメラルドグリーンの海と約620mにわたる白い砂浜が南国を思わせる「白良浜」。そこから車を少し走らせると、大岩盤が広がる「千畳敷」や熊野水軍の舟隠し洞窟が残る「三段壁」といった雄大な景勝地が見えてきます。夕暮れ時には「日本の夕陽百選」に選ばれた「円月島」へ。島の中央に空いた穴に夕日がすっぽりと重なる光景は、ここでしか見られない格別の美しさです。
さらに、陸や海など約120種1,600頭の動物たちと出会える大型テーマパークの「アドベンチャーワールド」や、新鮮な海の幸を味わえる「とれとれ市場」などもあり、子ども連れでも飽きずに一日中楽しめます。
温泉を旅の軸としながら、絶景散策や海鮮グルメを1日で無理なく組み合わせることができる。そんなゆとりある休日を過ごせるのが、白浜エリアの良さです。
熊野古道と海の幸を堪能する田辺・那智勝浦エリア
三重塔と那智の滝が重なり合い、絵画のように美しい青岸渡寺
熊野詣の歴史が息づく山々と、日本有数の漁港が隣り合う田辺・那智勝浦エリア。山と海の2つの顔を持ち、その両方を楽しめるのがこの地域の魅力です。
熊野詣の玄関口「口熊野」と呼ばれた田辺には、熊野信仰と深く結びついた「闘鶏神社」が鎮座。大水害で失われる前の熊野本宮大社と同じ6棟の社殿配置は、当時の面影を偲ばせます。海沿いへ足を延ばすと、干潮時に平らな岩礁が現れる「天神崎」があります。条件が揃えば、ウユニ塩湖のように水面が空を鏡のように映し出す絶景に出会えるでしょう。
一方の那智勝浦は、熊野三山のひとつを擁する世界遺産めぐりの拠点。463段の石段の先に現れる「熊野那智大社」、三重塔と那智の滝が並び立つ「青岸渡寺」、滝そのものをご神体とする「飛瀧神社」など、見どころが満載です。散策の後は、延縄漁法による生マグロの水揚げ日本一を誇る勝浦漁港へ。隣接する「にぎわい市場」で、延縄漁で釣り上げた海鮮グルメを味わえます。
世界遺産・絶景・海の幸を満喫した後は、漁り火が灯る海を眺めながら温泉でゆったりと疲れを癒やしましょう。山と海の個性をどちらも楽しめるのが、田辺・那智勝浦エリアならではの贅沢と言えます。
南紀・熊野でおすすめの過ごし方
羽田-南紀白浜間は1日往復3便(2026年9月時点)
ここからは、南紀・熊野でのおすすめの過ごし方を紹介します。1泊2日と2泊3日、それぞれのモデルコースを見ていきましょう。
羽田空港から南紀白浜空港までは約70分、始発便に乗れば午前中から観光が可能です。ただし、和歌山は各スポットが広い範囲に点在しているため、効率良くめぐるには車の利用が前提となります。
1泊2日なら、旅の中心は白浜エリアに絞るのがおすすめです。まずは、車で白良浜へ向かい散策。午後は千畳敷や三段壁で自然の迫力を体感し、日没に合わせて円月島へ。2日目は、名湯・崎の湯へ。帰りにとれとれ市場で海鮮を味わい、ゆっくりお土産を選んで空港に戻ります。
2泊3日なら、南紀・熊野を縦に旅してみましょう。初日は白浜エリアで海辺のスポットと温泉を楽しみ、2日目は山あいの熊野本宮温泉郷を経て那智勝浦エリアへ。最終日は世界遺産を訪ねてから空港へ戻ります。同じ和歌山でも1日ごとに景色が入れ替わるので、飽きることなく旅を楽しめます。
1泊2日でも2泊3日でも、南紀・熊野なら温泉を軸にした旅を計画できます。日程や目的に合わせて、無理のないコースを選んでください。
南紀・熊野で泊まりたいおすすめホテル
次に、南紀・熊野でおすすめのホテルを紹介します。観光したいエリアに合わせて、宿を選んでみてください。
亀の井ホテル 熊野田辺
太平洋を見渡せる「亀の井ホテル 熊野田辺」の5階展望風呂
「亀の井ホテル 熊野田辺」は、南紀白浜空港から車で約30分。熊野古道の玄関口である田辺に位置するホテルで、闘鶏神社や天神崎がある田辺エリアや、アドベンチャーワールドや白良浜がある白浜エリアをめぐる観光拠点として便利です。
海が目の前に迫る客室は、全室がオーシャンビュー。どの部屋の窓からも田辺湾から遠く太平洋まで見渡せて、青い海が出迎えてくれます。
宿の自慢は、天神崎から湧く天然温泉を引いた最上階の展望風呂。目の前に大海原と開放感のある空が広がり、夕暮れ時には元島の向こうへ沈んでいく大きな夕日を一望できます。露天風呂や寝湯などさまざまなお風呂を、田辺湾からの心地よい潮風とともに満喫できるのも海辺の温泉宿ならではです。
夕食は、勝浦直送の新鮮な生マグロや、熊野牛など紀州の食材をふんだんに使った会席料理をご用意。新設された店内のオープングリルでは、アワビや海老を浜焼きさながらに焼き上げることで磯の香りが引き立ち、素材本来の旨みを楽しめます。
| 名称 | 亀の井ホテル 熊野田辺 |
|---|---|
| 所在地 | 和歌山県田辺市目良24-1 |
| 公式サイトURL | https://kamenoi-hotels.com/kumanotanabe/ |
亀の井ホテル 那智勝浦
勝浦港から水揚げされた生マグロのお造りをはじめとした料理が並ぶ会席料理
「亀の井ホテル 那智勝浦」は、那智湾を臨む海沿いに佇むホテルで、南紀白浜空港からは車で約1時間40分。熊野古道、熊野那智大社、那智の滝など、那智エリアの主要観光地が車で約30分圏内にあり、世界遺産めぐりの拠点に便利な立地です。
旅の疲れを癒やしてくれるのが、敷地内から毎分200L湧き出す自家源泉。庭園露天風呂からは那智湾や熊野の山々が一望でき、晴れた日には遠くに那智の滝を眺めることもできます。
夕食は、勝浦漁港直送の生マグロが主役。勝浦産のものは、一般的な冷凍マグロに比べてもちっとした食感と濃いうま味が特徴です。そんな生マグロを贅沢に使ったお造りはもちろん、希少部位の頬肉を使ったカツレツ、熊野牛や伊勢海老など、紀州の味覚を散りばめた会席を楽しめます。
館内には宿泊者向けにさまざまなアクティビティが用意されており、熊野古道のガイドウォークも手配できます。熊野の信仰や文化をより深く学べるので、あわせて利用してみてはいかがでしょうか。
| 名称 | 亀の井ホテル 那智勝浦 |
|---|---|
| 所在地 | 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町勝浦216-19 |
| 公式サイトURL | https://kamenoi-hotels.com/nachikatsuura/ |
和歌山の温泉街に関するよくある質問
最後に、和歌山の温泉街に関する2つの質問に回答します。
和歌山の温泉街はどこにありますか?
南北に長い和歌山ですが、温泉地は県南部の南紀・熊野に集中しており、大きく海沿い・山あい・川沿いの3つに分かれます。
海沿いにあるのが、白い砂浜が広がる白浜温泉や、天神崎の絶景が美しい田辺温泉、熊野灘に面した勝浦温泉。電車やバスなどの公共交通機関が整っているため、南紀の中では比較的アクセスしやすい温泉地です。
一方、山あいに位置するのは熊野川の支流沿いに湧く熊野本宮温泉郷。川沿いには、熊野へと続く日高川の渓谷にたたずむ龍神温泉があります。いずれも温泉地内に直接鉄道は通っていませんが、路線バスでアクセス可能です。ただし、経路や時間帯によっては運行本数が限られる場合もあります。
関東から訪れる場合は、南紀白浜空港が旅の拠点となります。空港でレンタカーを借りれば時間に縛られない分、南紀周遊を快適に楽しめるのでおすすめです。
和歌山県の三大温泉はどこですか?
決まってはいませんが、白浜温泉・勝浦温泉・龍神温泉が、和歌山県を代表する三大温泉地として紹介されることがあります。
白浜温泉は、有馬や道後と並ぶ日本三古湯のひとつ。全長約620mの白い砂浜が続く白良浜周辺に宿や日帰り入浴施設が集まる、関西有数のリゾート温泉地です。
勝浦温泉は、県内随一の源泉数を誇る海沿いの温泉地。延縄漁法による水揚げ日本一の生マグロをはじめとする海の幸も楽しめます。
龍神温泉は、日高川の清流と山々に囲まれた山あいの温泉地。群馬の川中温泉、島根の湯の川温泉と並ぶ日本三美人の湯としても有名です。
海辺のリゾート、温泉と海の幸、山あいの湯治場。それぞれの個性がはっきりしているので、旅の目的に合わせて選ぶと良いでしょう。
まとめ
今回は、白浜温泉・勝浦温泉・熊野本宮温泉郷といった代表的な温泉地と、南紀・熊野の見どころやモデルコースを紹介しました。和歌山の温泉は、泉質の良さに加えて多彩なロケーションを選べるのが大きな魅力。ひとつの県で、これほど個性の異なる名湯が揃う場所はそう多くありません。温泉に浸かるだけでなく、美しい景勝地を散策したり、獲れたての海の幸を味わったり。そんな欲張りな旅ができるのも、和歌山ならではのおもしろさです。
羽田から南紀白浜空港までは約70分。思い立ったら週末にふらりと出かけられます。紹介したホテルを拠点に、和歌山の温泉旅に出かけてみてはいかがでしょうか。
2026.10.9公開
※最新情報は各施設の公式サイトをご確認ください。